やっとかめ。オイディプス王の続き行きます。

若干名、ジャンプの藤崎竜の新漫画に2ちゃん語が
頻出してるのが気になる今日このごろ。

さて、オイディプス王を読んで一番違和感あった部分
というのは、オイディプスが、自分の出自を知ってからの
反応のことなんですが・・

普通、俺の感覚としては、たとえ母であろうと
現に愛しているわけだし、もう子供も残してしまったの
だから、「この件は内密にせよ。漏れれば殺す」と
脅しておいて、明日から普通の顔で暮らすような
気がするのです。

その点、劇中では、イオカステは 即自殺してしまうし
それを見てオイディプスは自分で目を潰すわ、
自己嫌悪の塊になって放浪の旅に出てしまうわで
あれよあれよと悲劇のクライマックスが演出される
わけですが・・・

必然性という点から見ても、「んん?」と思わざるを
得なかった。

しかしながら、この納得いかない点は、ひとえに
時代背景の違いだと思う。というのは、道徳の基準が
社会の持つ不文律や、理性によって作られた法ではなく、
「神」だったからだと思う。

道徳や法を相手にするだけなら、自分をそこから
切り離して、殻に閉じこもることが出来る。しかし
相手が神だと、そうはいかない。自分の運命をすべて
握っているような相手なのだから。その神が定めた
規律を破ったということで、すさまじい自虐に陥った
のではないかと思う。

えー、大した違和感でもなかったかもしれないですけども
オイディプス王の読後感想は終わりです(^_^;)

http://www.bauddha.net/

ちなみに、こんなサイトめっけました。有用!有用!
<その1からつづき>

俺はまだ全然、小説などを読み込む目をもってない
ので、こう、オイディプス王の本編そのものを読んだ
だけでは、たいした感想などは持てないのが実情(´・ω・`)

強いて言うと、おそらく予備知識なしに本編だけ読んでも、
実に早くから結末が読めてしまうであろうところが少し
残念だった。

 
でも幸いにも、古典の傑作だけあって、色々な批評家が
うまい批評をしているらしく…なかでも、アリストテレスが
「詩学」で述べている批評はおもしろい。あとがきにあった
のですけども。

とりあえずオイディプス王は悲劇の名作として知られるが
悲劇で大事なのは、順調に見えた物事が急転して悲劇になる
「逆転(ペリペテイア)」とか、悲劇的な事実が明らかになる
「発見(アナグノーリシス)」だという話が訳者の解説で
語られた後、「詩学」よりの引用でそれを補強している。

少し長いですが、物語の手法の批評としてはけっこう面白いと
思うので、全文引用しました。

「逆転」について言を引けば…

<これらはあくまでも物語の構造そのものの中から導き
出されなければならない。すなわち、それらのことが起る
のは、先立つ出来事からの必然不可避の帰結であるか、
あるいは少くとも、もっともだと納得できる結果でなければ
ならない。これこれの出来事がこれこれの出来事のゆえに
起るというのと、たんにこれこれの出来事のあとに起るという
のとでは、大変な違いがある>

<たとえば「オイディプス王」においては、オイディプス王に
うれしい報せをもたらして母親に対する恐れから解放してやる
つもりでやってきた男が、オイディプスの素姓を明るみに出す
ことによって、かえって状況を逆転させることになったのである>

 
また「発見」について、

たとえば何かのしるし(傷跡・首飾り等)を手がかりと
する発見、自分が誰であるかを劇中人物にみずから語らせる
というような、「作者によってこしらえられた発見」
「記憶を媒介として行われる発見」「推論から結果する発見」
等々のような、「発見」をもたらすきっかけが、外的で
偶然的で恣意的であるようなものは、技法的に稚拙である、
ということを述べたのち、

<これに対して、あらゆる「発見」のうちで最もすぐれた
あり方は、無理のない事の運びを通じて用意された驚愕と
ともに、出来事そのものからの結果としてもたらされるような
「発見」である。ソポクレスの「オイディプス王」の中に
みられるものや、(エウリピデスの)「イピゲネイア」に
みられるものは、その例であるといってよいであろう>

と、述べているらしい。

らしいというのはもちろん、「詩学」を読んだことが
ないからなんですが…プラトンの次はアリストテレスだから
読んでみたいですね。

他に3、4点の分析をしているようだけど、俺にとって
ひどく納得がいったのはこの点で…というのは、
以前から俺も、悲劇に限らず物語というのは、「必然性」と
いうのがひとつの重要な要素になると考えてたからです。

明らかに「作者がこうしたいから」という意図がミエミエの
演出ではいけない。最初に状況設定があって、作者は
それに沿って、当然到達すべきであろう地点まで
それを描ききることを考えればよい、と、個人的には
思う。それをアリストテレスは見事に言い表していると
思う。

しかしながら、個人的に、オイディプス王は確かに
必然の流れをもって結末に達していることがよくわかる
が、ところどころ、心情に理解しがたい部分もあるし、
結末が途中でほとんど丸分かりになってしまうところが
惜しいと思う。

この「心情に理解しがたい部分がある」のところを
少しその3で扱います。
ISBN:4102209018 文庫 福田 恒存 新潮社 1984/09 ¥380

実際の画像はこれとは全然違います。

ISBN:4003210522 文庫 藤沢 令夫 岩波書店 1967/01 ¥420

のほうです。でも画像がないとさみしいのでこれにしました。
画像のやつは、アンティゴネも入っているし…

さて、早速オイディプス王を読破しました。
次はジッド「狭き門」を読み終わろうかと。

しかしこれ、神話か世界の名作か微妙な線だと思う
のですが…今日買った「世界の神話101」(新書館)に
ギリシア神話として扱われてたので、神話扱いにします。

では、ネタバレ含みつつ感想を書いていきます。

少し字が違う気がするんですけど、これはフロイトの
「エディプス・コンプレックス」の語源となった話
です。このコンプレックスは、男の子は幼児期の体験
とかから、父親を憎んで母親と一緒になりたいという
欲望を持っているという意味だったと思うけど…
父親を殺して母と交わったオイディプスの話ですね。
「現代思想の冒険者たち」のラカンでも、オイディプスの
ことが出てきたので、いちおう予備知識として読んで
おきました。

内容としては、まず、オイディプスの話以前に、
ライオスという王の話があります。この話はなぜか、劇中
には出てこない(オイディプス王というのは、元々劇場で
やるような劇のひとつだったようですが)。

元々、書きものとしてあったかどうかは知らない。
話を書いて残した人はいるかもしれないですね。

ライオスはアポロンの神託を受けて(この頃は、色々と
国事とか私事にしても、神託を受けて判断することが多かった
ようだ。しかし、神託とかって、まるっきり外れて
ボロが出たりしなかったのかと訝ってしまうのだけど(^_^;))

ライオスは、その神託で、自分が生まれた子供に殺される
運命にある、という旨を知らされるのだけど、それでも
子供作ってしまったらしく、やむなく谷に捨てて来い
と、家来に依頼して捨てさせたそうです。
なんで目の前で殺しておかないのか、とも思うけど、
それはギリギリの親心でしょうね。

結局、オイディプスは羊飼いに拾われて別の国で育ち、
ライオスは殺されるのだけど。

なぜライオスを殺すことになったか。それは、オイディプス
自身も神託を受け、父を殺して母と交わる運命にあると
知らされたから。建前上、オイディプスにとっては、
拾われた国の王と妃が父・母ということになっていて、
オイディプス自身はそれを信じていたから、神託を
恐れて国から離れまくったのです。誠実な人ですな。
その道中でライオスに合い、ひともんちゃくあって、
お互い父と子ということを知らずに殺してしまった。

それで、たどり着いたテバイという国が、丁度スフィンクス
という乙女の顔、翼を持つ獅子の姿をした怪物に危機に
さらされていた。答えがたい問いを投げかけて、答えない
テバイの国民を食い殺しまくっていた。

そこにオイディプスが登場したわけです。
有名なスフィンクスの問いは、オイディプスが解いた
ものなんです。

よく、「最初は4本足、次に2本足、最後は3本足で歩く
動物なんだ?」というナゾナゾとして紹介されるけど、
原文はこう。

「一つの声をもち、二つ足にしてまた四つ足にしてまた
三つ足なるものが地上にいる。地を這い空を飛び海を泳ぐ
ものどものうちこれほど姿・背丈を変えるものはない。
それがもっとも多くの足に支えられて歩くときに、
その肢体の力はもっとも弱く、その速さはもっとも遅い」

これに対する答えも、けっこう長い歌として伝えられてる
そうです。

それで、このテバイという国の王は、実はオイディプスが
ここに来る前に殺したライオスでした。ライオスが死んだ
という報せの後にスフィンクスが来てえらいことになって
いたので、スフィンクスを斥けた英雄オイディプスが
王になった。それで、母であるイオカステを妻にめとります。

かくして、神託は実現したわけです。

実は「オイディプス王」の内容としては、この後のいきさつ
だけが書かれてます。もちろんこの本自体には、訳者による
ライオス王のあらすじも書かれてますが、実際の劇を見る人は、
前段の話はもう知っているものとして演られてるみたいです。

劇中では、上述のとおり、妻が母であることを知り、
オイディプスが破滅していくさまが描かれます。

長くなったのでその2に。

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