ジャン=ポール・サルトル(1905〜1980)、パリ生まれの
実存主義の哲学者。実存主義と現象学ってかなり緊密な関係
みたい。

彼は哲学だけでなくて、社会運動にも参加してるようです。
マルクス主義にも接近していたとか。

サルトルはロンパリの知識人で、割と有名なのかなぁ?
最近の人だし…まぁ余談はいいですね。

彼はフッサールのイデーン、またハイデガーを熟読して、
そこから更に独自の現象学を構築していったとか。

その立場としては、フッサールのように超越論的現象学
(メタ(高次の、一つ上から扱う、というニュアンス)な
地点から認識を扱う、ということか?)ではなくて、
反省において直接に与えられる、世界内の人間の心的意識
作用の本質的構造を、ありのままに記述しようとしたことに
あるという。

まぁ「無前提性という原理」をもっていても、アプローチの
仕方はいろいろあるかもしれない。それも「前提」といえば
そうだけど、アプローチ法を画一化したら皆同じ哲学に
なっちゃう気もする。

サルトルの主著は「存在と無」。「存在と時間」を意識した
書名だろうか。とりあえずみていこう。

目次。
・「対自」
・「即自」
・「対他存在」
・「実存は本質に先立つ」
・アンガージュマン(参加)

 
・「対自」から。

ハイデガーが「現存在」と呼んだものに近いニュアンスだと
思うけれど、もう少し意味が狭められている感じ。

自己自身に向いている意識のあり方、をサルトルは「対自」
と呼んだ。

これはハイデガーでいう「情状性」に態度を取る、「了解」
する現存在の部分のことを言っているように思える。

ただ言い方が複雑で、昭和堂の書き方では、サルトルにとって
意識とは

<「志向性」を本質とする「何物かについての意識」、すなわち
己れでない何物かについての定立的(≒肯定的)な意識>
(()内は引用者)

であり、しかし同時に

<自己についての非定立的な意識、すなわち「自己(について
の)意識」でもあった>

とする。

また、

<意識は、己れを非定立的に意識しつつ己れでないものを定立
することによって、世界の内に「無」を生じさせる。
また意識は、時間性の面で、己れが現にあるところのもの(過去)
で“あらぬ”ように、また未だ“あらぬ”ところのもの(未来)
で“ある”ように、「脱自」的に生成し、己れを「超越」して
いく存在でもある>(“”は引用者)

であり、つまりは

<対自としての意識には「無」があまねく浸透しており、対自存在
とは、この無を生み出す「無化」の働きとして「自由」そのもの
であるとさえ言えるほどである>

というのだ。

何が何やらという文章だが、なんとか解釈に挑戦する。

“「己れでない何物か」”、“現にあるところの「過去」で
「あらぬように」”、とはこれ全て、いわば過去の「後悔」に
ついてのことだと思う。ハイデガーでいう、「先駆」を可能に
している「時間性」における「過去」だ。
ただ肯定的に捉えられる過去もあると思うのだが、それについては
なぜ扱わないのか分からない。肯定的な過去は、自然と習慣化
していくから、あえて定立することもないからだろうか。

そして“「あらぬ」ところの未来で「ある」ように”、
“対自が生み出す「無」”、“意識に浸透している「無」”は、
未来に対する可能性、ハイデガーでいう「企投」なんだと思う。

もう少し噛み砕くと、こう。

過去を“あらぬ”ようにする、ということは、俺はあほなので
そのまま解釈してしまうが、過去にあったことを、これから
無くなるよう努力する存在としての、人間を指していると思う。

しかしこれだと、過去の失敗を否定するだけなので、未来に
対する指針とはならない。これが「無」。

対自存在として「無」を生み出すとは、過去の後悔を心理的に
打ち消そうとして過去を“あらぬ”ようにして、未来を目指す
(脱自する)のかなーと思った。そして非肯定的な過去しか
もたないので、肯定的な未来を、何か肯定的な過去のサンプルから
引っ張ってくることはできない。「無」の中から「自由」に
思い描くしかない。

うーん、あまりに解釈が卑近過ぎる気もする…。

でも、過去の大きな失敗が自分を「無化」するかのような力を
持っていることは、俺は後悔の多い人生なので、なんとなく
分かる。

毎回そうだけど、今回は特に解釈に自信ない。
でも、自分でも理解できないような難しい言葉並べておしまい、
じゃ寂しいし、自分の生活感覚に即して理解したいんだな〜
これが。まだ早いかもしれんけど、原著読んでから解説書
見るときに、自分でも考えておくのは多分役立つと思う。

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