≪近代哲学(22)−深層心理学・ユングについて−≫
2004年8月4日さて、近代哲学はこれで最後です。
カール・ユング(1875〜1961)、ユングというと、フロイトと
並んで有名な心理学者ですね。年表にはあるんですけど、
昭和堂もはじめての哲学史も扱ってないので、ネットで調べた
限りで、ユングの心理学がどんなものなのか紹介します。
その前に、フロイトのところでは述べなかった
・心理学とは何か?
・精神分析とは何か?
について簡単に扱います。どうも哲学との区別がつきにくい
ので(といっても、哲学は心理学や物理学の成果をも取り込んで
概念全てを扱う学問なんですが、本来は)。
・心理学(サイコロジー)について。
これは色々学派があってなんともいえないけれど、心の様々な
動きとか、それに基づく人間の行動を探求する学問。
もともと、哲学と科学的手法を合わせて用いようとして生まれた
学問だという。元々は、心を科学的手法をもって分析しようとした
哲学の一派だったそうです。ただ精神病の治療などに用いられることも
あって、哲学よりずっと実践的ですね(;’∀`)…
科学的経験主義の立場から、つまり、観察・実験によって探求を
推し進めようとする「実験心理学」、
フロイトが創始した「精神分析」から発展した「臨床心理学」。
心を脳という情報処理装置と解釈する「認知心理学」、
また人文学・哲学からアプローチする人間性心理学、などがある
らしい。
ゲシュタルト心理学とかトランスパーソナル心理学とか、かっこいい
名前もけっこうある。しかし哲学に加えてこれをやろうとすると
大変だなあ…
ともあれ、哲学とほとんど変わらないような学派もありそうです。
哲学だって本気で取り組めば一生費やしそうなレベルなのに、
その上心理学…う〜ん。
・精神分析について
ジグムント・フロイトが創始した、人間心理の理論と、その治療技法
の体系。20世紀前半の臨床心理学に大きな影響を及ぼしはしたけれど、
生理科学とか医学の発展、あと理論と実際の不一致からだろうけども
フロイト法自体は、今はあまり臨床で用いられることはないらしい。
ただ、広義にはその後の学派含めてこう呼ぶ。
ユングの学派はフロイトの理論とはかなり違うためにこれには属さない
が、無意識の存在を認めているので「深層心理学」としては同じ類に
くくられる。
それでは、ユングの背景を少し。
ユングは元々フロイトの精神分析を学び、一時はその後継者と
みなされていた。けれども次第に独自の心理学を構築していき、
分析心理学を創始することになる。
スイス生まれで、父親はプロテスタントの牧師。ただし、権威的かつ
暴力的で、母親への横暴や暴力が絶えず、母親は精神を病んで
精神病院に入院する羽目になる。これがユングののちの心理学にも
大きな影響をおよぼす(具体的には、「グレートマザー」の思想に
あるそうです)。
背景はこのぐらいで、軽くどういう考え方なのか敷衍しておきます。
いずれ詳しく扱うことがあれば本を読もう…。
簡単に言えば、宗教の神話とか世界各地の文化における創世神話に、
人類共通の「元型(アーキタイプ)」を見出そうとした心理学、
らしい。
つまりは、ほとんどオカルトの領域に入ってしまっている。ので、
今ではユングを研究する人はほとんどいない、という。
フロイトの学から分派したのだから、精神病患者を扱える心理学の
はず。ユングは精神病患者の、訳がわからない言動に対しては、
彼らが「うまく役立たない神話」を持っているから、そうなっている
のであり、だから正常な人々から隔離されなければ生きていけない、
としている(同時に、正常な人は、正常な神話を持つのだろう)。
人類が最初にもつ神話に、人間の精神に共通な「元型」を見る…
その発想自体は面白いが、しかしこれでは、実際の治療に役立つ
とはとても思えない。
ユングによれば、古代のグノーシス思想にみられる神の両性具有から、
神の似姿である人間も本質的には両性具有なのであるが、成長の
過程(ホルモンバランスだとか、社会的要因だとか)によってどちらか
の性に限定され、どちらかの性の性質を無意識の領域に押し込める
のだという。そういった「私が生きなかった半身」としての意識が
無意識に存在し、そのどちらをも含む完成形が「元型」と言える。
元型にはグレートマザー・影・アニマ/アニムス・父/母・老賢人・
英雄/トリックスター・ペルソナ、などなど色々ある。
その元型を軸にして、どちらが表に現れるのかで、外向的・内向的
の組み合わせの分類ができるのだという。
ともあれ、フロイトに比べると哲学史的には扱う意味もあまり
なかったかもしれないですね。
次は、いよいよ現代哲学にいきます。
といっても、現代哲学の次になぜか現代「思想」というカテゴリが
あるんですが。
フッサールとハイデガー、ヴィトゲンシュタイン、フーコーは
有名だから少し知っているけど、ベルクソンとかデューイとか
ハーバーマスとか…は、ほとんど知らないので未知の領域。
サルトルもバタイユもラカンもドゥルーズも知らないですけどね。
ていうか知らないといえば哲学者全員、知ってるなんて言えない
ですけども。。
カール・ユング(1875〜1961)、ユングというと、フロイトと
並んで有名な心理学者ですね。年表にはあるんですけど、
昭和堂もはじめての哲学史も扱ってないので、ネットで調べた
限りで、ユングの心理学がどんなものなのか紹介します。
その前に、フロイトのところでは述べなかった
・心理学とは何か?
・精神分析とは何か?
について簡単に扱います。どうも哲学との区別がつきにくい
ので(といっても、哲学は心理学や物理学の成果をも取り込んで
概念全てを扱う学問なんですが、本来は)。
・心理学(サイコロジー)について。
これは色々学派があってなんともいえないけれど、心の様々な
動きとか、それに基づく人間の行動を探求する学問。
もともと、哲学と科学的手法を合わせて用いようとして生まれた
学問だという。元々は、心を科学的手法をもって分析しようとした
哲学の一派だったそうです。ただ精神病の治療などに用いられることも
あって、哲学よりずっと実践的ですね(;’∀`)…
科学的経験主義の立場から、つまり、観察・実験によって探求を
推し進めようとする「実験心理学」、
フロイトが創始した「精神分析」から発展した「臨床心理学」。
心を脳という情報処理装置と解釈する「認知心理学」、
また人文学・哲学からアプローチする人間性心理学、などがある
らしい。
ゲシュタルト心理学とかトランスパーソナル心理学とか、かっこいい
名前もけっこうある。しかし哲学に加えてこれをやろうとすると
大変だなあ…
ともあれ、哲学とほとんど変わらないような学派もありそうです。
哲学だって本気で取り組めば一生費やしそうなレベルなのに、
その上心理学…う〜ん。
・精神分析について
ジグムント・フロイトが創始した、人間心理の理論と、その治療技法
の体系。20世紀前半の臨床心理学に大きな影響を及ぼしはしたけれど、
生理科学とか医学の発展、あと理論と実際の不一致からだろうけども
フロイト法自体は、今はあまり臨床で用いられることはないらしい。
ただ、広義にはその後の学派含めてこう呼ぶ。
ユングの学派はフロイトの理論とはかなり違うためにこれには属さない
が、無意識の存在を認めているので「深層心理学」としては同じ類に
くくられる。
それでは、ユングの背景を少し。
ユングは元々フロイトの精神分析を学び、一時はその後継者と
みなされていた。けれども次第に独自の心理学を構築していき、
分析心理学を創始することになる。
スイス生まれで、父親はプロテスタントの牧師。ただし、権威的かつ
暴力的で、母親への横暴や暴力が絶えず、母親は精神を病んで
精神病院に入院する羽目になる。これがユングののちの心理学にも
大きな影響をおよぼす(具体的には、「グレートマザー」の思想に
あるそうです)。
背景はこのぐらいで、軽くどういう考え方なのか敷衍しておきます。
いずれ詳しく扱うことがあれば本を読もう…。
簡単に言えば、宗教の神話とか世界各地の文化における創世神話に、
人類共通の「元型(アーキタイプ)」を見出そうとした心理学、
らしい。
つまりは、ほとんどオカルトの領域に入ってしまっている。ので、
今ではユングを研究する人はほとんどいない、という。
フロイトの学から分派したのだから、精神病患者を扱える心理学の
はず。ユングは精神病患者の、訳がわからない言動に対しては、
彼らが「うまく役立たない神話」を持っているから、そうなっている
のであり、だから正常な人々から隔離されなければ生きていけない、
としている(同時に、正常な人は、正常な神話を持つのだろう)。
人類が最初にもつ神話に、人間の精神に共通な「元型」を見る…
その発想自体は面白いが、しかしこれでは、実際の治療に役立つ
とはとても思えない。
ユングによれば、古代のグノーシス思想にみられる神の両性具有から、
神の似姿である人間も本質的には両性具有なのであるが、成長の
過程(ホルモンバランスだとか、社会的要因だとか)によってどちらか
の性に限定され、どちらかの性の性質を無意識の領域に押し込める
のだという。そういった「私が生きなかった半身」としての意識が
無意識に存在し、そのどちらをも含む完成形が「元型」と言える。
元型にはグレートマザー・影・アニマ/アニムス・父/母・老賢人・
英雄/トリックスター・ペルソナ、などなど色々ある。
その元型を軸にして、どちらが表に現れるのかで、外向的・内向的
の組み合わせの分類ができるのだという。
ともあれ、フロイトに比べると哲学史的には扱う意味もあまり
なかったかもしれないですね。
次は、いよいよ現代哲学にいきます。
といっても、現代哲学の次になぜか現代「思想」というカテゴリが
あるんですが。
フッサールとハイデガー、ヴィトゲンシュタイン、フーコーは
有名だから少し知っているけど、ベルクソンとかデューイとか
ハーバーマスとか…は、ほとんど知らないので未知の領域。
サルトルもバタイユもラカンもドゥルーズも知らないですけどね。
ていうか知らないといえば哲学者全員、知ってるなんて言えない
ですけども。。
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