正直、スコトゥスの理論は自分でよく理解はできてません(;-_-)
あの考えで、3つの問題がどう解かれたのか…
原著読んでみないとよくわからないかも。

でも、オッカムの主張ならはっきりわかる。スコトゥスの理論は、
これとアクィナスの中間という位置づけで理解してます。

人間が普遍的な理解をもつことが可能な理由のうち、
それを人間の外にある実在にもとめるものを「実在論」ということは
述べました。アクィナスがこれ。

で、スコトゥスでは、それを否定するまでにはいたらなかった
ようで。オッカムはスコトゥスの弟子ですが、同時に最大の批判者とも
なりました。

では、どういうことを言ったのかみていきましょう。

 
オッカム(1285頃〜1347/49)は、ロンドン南西のサリー伯爵領の
オッカム村に生まれた。アクィナスと同じで、村の名前がそのまま
名前になったそうで…オッカム村のオッカムさんです。

オッカムは、「唯名論」のチャンピオンといわれる。この唯名論とは
何か?というと、これは「実在論」と反対の立場の論で、
この世に実在してるのは個物のみであって、普遍などどこにも
実在していないとする考え方。

当時、カトリック教会はおのれの普遍をうたっていた。
「カトリック(Catholic)すなわち普遍(Universalia)である」
と触れ回っていたという。

それだけに、この「普遍など存在しない」という理論は、この
教会の存在を根底から揺さぶるものと捉えられ、オッカムは
最初、教会やそのころの正統スコラ哲学(スコラ哲学というのは
西欧中世の教会・修道院の学校(スコラ)の学者・教師たちに
よって担われた哲学のこと)に激しく攻撃された。

しかしオッカムの狙いはそこにあるのではなくて、アウグスティヌス
やアクィナスなどの考え方にみられる、ギリシャ哲学の思想の
呪縛から、キリスト教を解き放ちたいと考えていたようだ。

「光(イデア)による照明がなければ、人間は何ものをも知りえず、
真に存在するのは光(イデア)である」という考え方は、まさに
プラトンの思想を受け継ぐものといえる。これをオッカムは、
キリスト教がギリシャ哲学の影によって支配されていると
思った。神の認識はただただ信仰によってのみ得られるので
あって、こうした理屈づけに意味はない、と思ったのだろう。

キリスト教の神が、人間の考え出した哲学によって制限される
ということに危機感をもった彼は、その流れを汲む実在論を
否定したわけだ。

しかしその理論にはそれなりの正当性もあって、彼はこう言う。

「概念は普遍的な外界の事物ではなく、心の中に単に観念的存在を
もつものでもない。概念は精神の性質である。……概念は知性認識の
働きそのものである」

つまり、普遍性とは、人間の精神が事物を理解する際に使う
概念というだけなのであって、どこかに実在するものなんかでは
ない、と言ったのだ。目の前にあるのは個物のみ、普遍性が
あるように見えるのは、人間が名という概念で分類している
からなのである。この名は単なる記号であって、実在する
概念とかイデアなんかではない。

これが唯名論だ。

オッカムによれば、抽象的な概念、認識は、直感的認識(知覚)
によってもたらされる。感覚、知覚によって得られる人間の経験こそが
すべての出発点なのであって、その対象は個物以外ではありえない。

その際、イデアとか余分なものを考える必要はない。彼はそういう、
認識の原理を説明するのに、無駄な要素を持ち込むことを拒否し
これをすべて切り落とす手法をとった。

これが有名な「オッカムの剃刀」である。

これをしたのには理由があって、当時のスコラ哲学には、
概念を好き放題持ち込んで、神の全能性などを理屈をこねて
論証してみせたりする、言葉遊びが流行っていたからだという。
(現代でも、言葉とか概念をこねくりまわすだけで、無駄に
煩雑な議論のことをスコラ議論などというのはここからきている)

彼によれば、神への信仰は哲学とは別なのであって、そういう
認識論は経験科学として独立し、理屈の学である論理学も
自然哲学(自然科学)の手法として独立することになる。

このオッカムの思想は、一方では「ただ信仰のみ」といった
ルターの宗教改革へとつながっていき、また一方では、
この後の近代哲学の大きな流れである、イギリス経験論へと
繋がっていくことになる。

 
、、さて、中世哲学はこれでおわりです。
普遍論争にも、多少の進展がみられましたね。
この後は、キラ星のごとくビッグネームが続く、近代哲学に
はいります。今まで問題にされてたことが自然科学の発達で
哲学から自立していったり、または哲学者の鋭い考察によって
解決したりする時期。このあたりのビッグネームはじっくり
やりたいけど、原著にはやくいきたい気もするのでそこそこに
しときましょう。

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